紅茶の種類

キームン(中国)

日本ではキームン、キーマン、キーモンなどとよばれています。
キームンは中国安徽省祁門県という夏は暑くて雨が多いところでつくられます。
最高峰1,800m以上の黄山山脈近くでは、年間約200日もの雨が降り、濃厚な霧が立ち込める場所です。この雨と霧が紅茶づくりに適しています。

キームンは「紅茶のブルゴーニュ酒」と称されることもあり、インドのダージリン、スリランカのウバとならび世界三大銘茶の1つとされています。
品質の違いから、いくつかの等級に分けられます。クオリティーによって味わいもかなり異なる紅茶です。
茶葉は細長く、甘くかすかな花の香りが感じられ、飲み心地は渋みも穏やかで甘く芳醇です。
イギリスで人気のある紅茶です。英国王室ではエリザベス女王の誕生日の日にキームンを飲むという伝統があるそう。

キームンの生産で特徴的なのは、発酵させたあとの火入れです。
インドやスリランカの紅茶は80度から120度ですが、キームンは150度にも達し、加熱時間や回数も多く、独特の香りや賞味期限の長さにもつながっています。

水色は鮮やかな赤。

クオリティシーズンは8月。
高品質なものは、バラや蘭を思わせるフローラルで甘い香と糖蜜の味わいがあり、快い渋みを持ちます。
キームンは独自のスモーキーな香りを持つものが多いですが、良質なものはスモーキーな香りが薄い、もしくはしないものもあります。
このスモーキーな香りがするものをできるだけ避けて茶葉を選ぶと良質な茶葉にめぐり合えると思います。
通常は松の木などで乾燥させるときに香りをつけるので、スモーキーな香りが特徴になるのですが、品質が低いキームンは、もともとの茶葉に香りがあまりないため、松の木を燻してわざとスモーキーな香りをつけています。

キームンの現状として、
これまで、最高のキームンを作り続けてきた安徽省祁門製茶工場は2005年に閉鎖しました。
その後、紅茶ブームもあり多くの茶工場が乱立、キームンの品質は低下し、価格は逆に上昇しています。

また、近年の中国はバブル状態で、値段が高ければ高いほどキームンが売れる状況で、異常に高い茶葉がでてきたり、品質の低下など伝統あるキームンの信用がゆらいでいます。
とはいえ、ダージリン、ウバとならぶ世界三大銘茶です。信頼できるお店で購入すれば十分その魅力を味わうことができますので、手間暇かけたキーマンをぜひ味わってみてください。